親の老いに関して子どもが気づいていない?「親が元気なうちに終活を行うべき」という言葉にピンと来ていないのは、親の老いに子どもが気づけていないことがひとつの理由でしょう。親が現役で活動しているイメージが強く、仕事や趣味をアクティブにこなす姿が印象付いているのかもしれません。しかし親は自分が思っている以上に歳をとっています。社会人になると、学生時代と比べて「時の流れが早い」と感じる人が多いものです。実家を出て仕事に一生懸命になり結婚や出産を経て、人生が段階的に進んでいきます。そんなときにふと自分自身に対して「歳をとったな」と感じる瞬間がありませんか。つまり親も同じように歳をとっていて、親の老いに対して向き合うべき人生の段階に来ているのです。親が元気なうちにやっておきたい5つのことでは「親が元気なうちにやっておきたいこと」とは、具体的にどんなことなのでしょうか。ここからは親が元気なうちにやっておきたい5つのことと題して、以下の5ステップから整理していきましょう。ステップ1:親の生活を聞くステップ2:親と一緒に旅行に行くステップ3:親のやりたいことを叶えるステップ4:老後のことを考えているのか聞いてみるステップ5:介護や財産に対する希望を聞く徐々に終活に踏み込んでいく流れとなっているので、ステップ1から順番にご覧ください。ステップ1:親の生活を聞くまずは親と会った時に、どんな暮らしをしているのか聞いてみましょう。ケガや病気はしていないのか、近所付き合いや友人関係は良好なのかを尋ねてみてください。仕事を退職した途端にケガや病気をする人がいたり、人との関わりがなくなり弱気になったりする人がいます。親の暮らしぶりを世間話の中から尋ねるなかで、変化に気づけることがあります。また今の暮らしを聞くことで、終活を行うべきタイミングを図ることもできます。ステップ2:親と一緒に旅行に行く家族旅行の思い出が子どもの頃から止まっているという方へ、親を旅行に誘ってみませんか。親が元気なうちに親孝行をして、家族旅行の思い出を更新しましょう。親が病気やケガをしたり、また子どもが仕事や育児で忙しかったりするタイミングもあり、旅行はいつでも行けるわけではありません。予定が合わせられるうちに楽しい思い出を増やしておきましょう。また大人になってから親子で旅行するのは、昔と違ってゆっくりとした時間が過ごせて良いものです。ステップ3:親のやりたいことを叶える「何かしてあげたい」と漠然と考えている方は、親にやりたいことを聞いて叶えてあげましょう。親世代が歳を重ねるとアクティブさがなくなり、家の中にこもりがちになってしまうものです。買い物や家事を一緒に行うといった日常的なことから、行きたい場所に訪れたり長寿祝いをしたりして、親の希望を叶えてあげてください。親が動けるうちにお互いに後悔のないように、いろいろな希望を叶えてあげましょう。ステップ4:老後のことを考えているのか聞いてみるふとした会話の中で、老後のことを考えているのか聞いてみましょう。老後はどこで暮らしたいのか、モノの整理は進めているのか、はたまた資産はコンパクトにまとめているのかなどを聞いてみてください。自ら終活を進めているようであれば、そのまま任せておけば良いでしょうし、何も考えていないなら子どもが終活に誘導してあげると良いでしょう。ただし「終活」と聞くと嫌がる親もいるので、会話の中でさりげなく・慎重に尋ねるのがポイントです。ステップ5:暮らし・財産・モノの整理に踏み込む本記事での最終ステップとして、介護や財産に対する希望を聞いてみましょう。もし親が乗り気になってくれない場合は、思い切ってエンディングノートをプレゼントしても良いかもしれません。近年では色々な種類のエンディングノートが販売されていて、気軽に手に入ります。では終活についてどんなことを聞き、どんな風に促すべきか「将来の暮らし」「資産管理」「モノの整理」の3項目に分けて確認していきましょう。将来の暮らしについてこの先歳をとったとき、どのような暮らしをしていきたいのかを尋ねてみましょう。たとえば将来的に車の運転が難しくなったとき、免許返納を考えているのか、交通手段はどうするのかなどを考える必要があります。あわせて、今住んでいる家の立地の良し悪しや、親だけで不自由なく暮らしていけるのかを検討しましょう。子どもが近くに住んでいれば助けられることもありますが、遠方に住んでいるとそうもいきません。財産管理について財産管理状況についても確認しておきましょう。もし親が亡くなったら、手続きをするのは子どもです。ゆえに「できる限りまとめておいてくれると安心」と伝えても良いかもしれません。貯金や財産に関しては、取引中の金融機関と口座の数を最小限にまとめておくと良いでしょう。相続する際に手続きを簡潔に済ませられ、また相続し忘れを防止できます。保険や金融資産、不動産に関しても、手続きが複雑な資産やなくても良い資産は、親が元気なうちに売却や解約の手続きをしておきましょう。亡くなってからだと、より複雑な手続きが必要となります。モノの整理について実家にあるモノの整理を、既に進めているのか尋ねてみましょう。「捨てるのがもったいない」という理由から、使わない食器類や衣類などを大量に残していることもあるかもしれません。思い入れが深いモノはなかなか捨てづらいですが、思いきりが大切です。新しくても使わないモノは、リサイクルショップやフリマサイトに出せば無駄になりません。親がなかなかモノを捨てられない性格なら、実家に出向いて一緒に整理すると本人たちも安心です。親が元気なうちに終活を行うべき理由なぜ、終活は親が元気なうちに行うべきなのでしょうか。その理由を整理していきましょう。親の気持ちを確認する1つ目の理由として、万が一のときにどうしてほしいのか、事前に親の気持ちを確認することができるからです。親がケガや病気になってからだと、意思を確認する余裕がありません。当然ですが、親が亡くなってからだと手遅れです。できる限り「子どもがしてあげたい」で選ぶよりも「親がしてほしい」で選んであげたいものです。また親は子どもに対して遠慮してしまうこともしばしば。親が今どんなことをしたいのかを聞き、叶えてあげられるとお互いに後悔しません。子どもの迷いをなくす親が元気なうちに終活を進めるべきなのは、子どもの迷いをなくすためでもあります。資産の把握・分割やモノの保管・廃棄などについて事前に確認しておけば、後々親族でもめることがありません。焦って決める必要がなくなる早くから終活に意識を向けておくべき理由は、親に何かあった際に焦って決める必要がなくなるからです。親にもしものことがあったときに、資産や住まい、葬儀のことなど重要な決断を急いでしなくても良いため安心です。時間にも体力にも余裕があるうちに、じっくりと話して最善の判断をしておきましょう。親が元気なうちに積極的にコミュニケーションを取ろう終活への一歩を踏み出すには、親が元気なうちに積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。いきなり終活と聞くと抵抗のある親も多いため、世間話から徐々に親の気持ちを確認していきましょう。家族が後悔しないように、無理のない範囲から終活を始めてみてはいかがでしょうか。文:しまりえ