離れて暮らす親を心配する人は多い久しぶりに帰省して親の姿を見たときに「一気に老けたな……」「あれ、こんなに小さかったっけ?」と気づくと、切なくなりますよね。親が高齢になるほど心配も募るものです。離れて暮らす親の健康や将来を懸念する興味深いデータがあるので見てみましょう。離れて暮らす親の健康を心配する人は76.2%一般社団法人ウェルネス総合研究所が、離れて暮らす高齢の親を持つ全国の40-60代男女 1,200名を対象に行った「高齢の親の健康サポートに関する意識と実態調査(2023年6月)」では、76.2%の人が親の健康を心配していると回答しました。心配している健康状態の具体例には、主に「運動不足・体力の低下」「新型コロナウイルスの感染」「もの忘れ・認知機能の低下や認知症」などが挙げられ、中でも脳機能低下への懸念は父親、母親それぞれ49.5%、57.1%とトップにランクインしています。一方で、親の健康状態が心配ながらも、約7割の人が何もサポートできていないとの事実も明らかに。これにはコロナ禍で親に会いに行けない状態が大きな影響を与えたと思われます。参照:PR TIMES: 全国の40-60代男女1,200名に聞いた「高齢の親の健康サポートに関する意識と実態調査」親が一人暮らしの場合は「孤独死」の不安もまた、少子高齢化・核家族化が進む日本で大きな問題になっているのが、一人暮らしの高齢者の「孤独死」です。メディア「終活瓦版」を展開する株式会社林商会は、一人暮らしの高齢の親をもつ20代~60代以上の男女を対象に「離れて住む一人暮らしの親の孤独死に対する意識や対策、親との関わり方についてのアンケート調査(2022年11月)」を実施。82%の人が「親の孤独死について考えたことがある」と回答しました。参照:PR TIMES: 「離れて住む一人暮らしの親の孤独死に対する意識や対策、親との関わり方」相次ぐ高齢者の孤独死のニュースには、胸が締め付けられますね。離れて暮らしているからこそ、いっそう親のケアについて考えたいものです。離れて暮らす親を持つ子どもができることは?健康状態のサポートや孤独死の防止のため、離れた親を持つ子どもには何ができるのでしょうか?最も一般的な例として挙げられるのが、「こまめに連絡する」「定期的に会いに行く」です。電話では用事だけ伝えるのではなく、「昨日の夜は何食べたの?」「今日の予定は?」など、普段の様子を聞いてみるといいでしょう。会話も広がり、自分のことに興味を持ってくれているとわかると親も嬉しいものです。また、できるのなら直接会って話すようにしましょう。電話よりも実際に顔を見た方が気付けることが多いからです。帰省時には、体調や家の様子などに加え、人と会う時間や趣味に充てる時間が減っていないかも確認してみましょう。日々の意欲が低下すると、認知症のリスクも高まります。早期対策が取れるよう、可能な限り実家を訪問したいですね。その他、サプリメントや健康グッズ、家事の負担を軽減できる機器などを渡すのもいいでしょう。何でもない日にちょっとしたプレゼントを贈ると親も喜んでくれるかも。おしゃれな傘や食器など、普段親が自分で買わないようなものもおすすめです。離れて暮らす親が心配なら、近くに呼び寄せる手も地元に帰るのは難しい、遠距離介護になった場合が不安などという理由で、近頃では自分の住まいの近くに親を呼び寄せるケースが増えています。親を呼び寄せると、何かあったときにすぐ駆けつけられる安心感がある一方、お互いの生活の大きな変化により思わぬトラブルやストレスを招く恐れも。親を呼び寄せる前に同居・近居のメリットとデメリットの双方を確認し、自分たちに合った方法を選びましょう。親を近くに呼び寄せるメリット・デメリットは?メリット同居・近居する最大のメリットは、親の健康状態を確認しやすい点です。離れていて一番気がかりなのは緊急時の対応が遅れてしまうことですが、同居・近居すれば何かあったときでもすぐに対応できるため安心ですね。お互いに寂しい思いをすることもなくなります。また、同居の場合は家事を分担でき、食費や光熱費など生活費を抑えられることもメリットです。帰省する必要がなくなるので旅費も節約できます。デメリット高齢の親との同居・近居は、安心できる一方で思わぬトラブルやストレスが発生することも。多くの人が挙げるデメリットは、距離が近くなることでお互いにストレスが生まれる点です。プライバシーが確保しにくくなったり、お互いの生活リズムが違うことにストレスを感じる人は珍しくありません。最初から同居しているならともかく、お互いに生活リズムが決まっている中で親と同居するのはなかなか難しいものです。特に義家族の場合はなおさらでしょう。また、子どもが同居を前向きに検討していても、親が望んでいない可能性もあるので注意が必要です。一般的に、人は歳を取るごとに柔軟性が失われ、生活スタイルの変化や新しいことへの挑戦が億劫になると言われています。住み慣れた土地に愛着があり、親が離れたがらないため、なかなか同居に踏み切れないというケースも多いようです。親と同居する場合の注意点近居ではなく一緒に住むことを検討するなら、必ず親の意思確認をしましょう。子ども側が同居を希望していても、親が望んでいない場合もあるからです。子どもやその家族に迷惑をかけたくないと思っているかもしれません。また、お互いの価値観や生活習慣が違うことを理解しておきましょう。長年離れて暮らしていると、たとえ血のつながった親でも他人のように感じることがあります。テレビの音量や起床・就寝リズム、食事の好みなど、些細な違いが後々大きなストレスの原因にもなりかねません。価値観や生活習慣が異なることを前提に、同居を検討しましょう。同居が難しい場合は、親を近くに呼び寄せる「近居」という方法があります。親と子が一緒に住む同居に比べ、適度なプライバシーやそれぞれのライフスタイルが保てるため、近年増えている手段です。一般的に、「徒歩・自転車・車・電車で1時間以内に行き来できる距離」が近居の具体的な範囲として認識されています。万が一のときも安心で、お互いのプライベートも確保できる程良い距離感で暮らすのもひとつの手です。離れて暮らす親が心配なら、しっかり向き合おう!離れて暮らす親を心配しながらもサポートができずにいるという人も少なくありませんが、何かあったときの後悔だけは避けたいものですね。しかし、普段から親に連絡したり、できるだけ頻繁に実家を訪問をするなど、離れて暮らしていてもできることは意外とあります。また、メリットとデメリットを理解したうえで同居や近居を検討してみてもいいでしょう。離れて暮らす親が心配なら、親が元気なうちに、まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか?文:村山葵