実家の片づけを始める前に親子で話し合おう実家を片づける際は、親子のコミュニケーションが欠かせません。まずは、子どもが親の気持ちや価値観を受け止め、今後の理想の暮らしを聞くことから始めましょう。いまどんなことに困っているのか実家が片づいたら、どんな暮らしがしたいのか片づけたあとの暮らしを具体的にイメージしてもらうことが重要です。たとえば、「友人を呼んでお茶会をする」「趣味の部屋をつくる」といったように、実家が片づいたらやりたいことを親に考えてもらうとよいでしょう。片づけはゴールではありません。理想の暮らしを実現するための過程なのです。実家の片づけをスムーズにおこなうための5ステップ実家を片づける際には優先順位をつけましょう。片づける順番は「片づけてもいいかな」と親がすんなりと受け入れられる場所・モノから決めていきます。ただ、どこから片づけたらいいのか分からない場合は、これから挙げる5つのステップで進めてみてください。1. ケガや転倒のリスクがある場所家が片づいていないと、ケガや転倒のリスクがあります。高齢になってからケガをしてしまうと、最悪の場合寝たきりになってしまう恐れもあるため、ケガや転倒のリスクの高い場所から片づけることはマストです。具体的には、床に直置きしているモノや、棚の上に置いているモノなどが落下する危険がある場所です。つまずいて転んだり、モノが落ちてきてケガをしたりしやすい場所から片づけていきます。こういったリスクが高い場所から片づけることに対して、子どものほうから「ケガをしないか心配だから片づけよう」と伝えれば、親も納得して片づける気持ちになりやすいでしょう。2. 使っていない家具・家電実家に置いてある使っていない家具や壊れている家電は処分しましょう。まだ使えるけれども、使っていない家電はリサイクルショップに持ち込んで売ることをおすすめします。小型家電なら引き取ってくれる宅配買取サービスもあります。親世代は捨てることに罪悪感を抱きやすいので、「人に譲る」「売る」といった手放し方のほうが抵抗がありません。ただし、生活動線上にある家具を処分するには注意が必要です。親が家具を支えにして歩いたり立ち上がったりしていることを知らなかった子どもが、勝手に家具を処分してしまったために、支えがなくなり転んで怪我をしたという事例が過去にありました。家具については勝手に処分せずに、普段の行動をしっかり聞いておきましょう。3. 生活動線上にあるモノ次に、普段の暮らしのなかで不便に感じている場所を片づけていきます。リビングやキッチン、寝室、洗面所、玄関を順番に整理します。リビングならリビング、キッチンならキッチンと、必ず1箇所だけに集中してやることが大切です。あちこち手をつけてしまうと、どこをどのように片づけたのか、あとはどこを片づけるのかが分からなくなってしまうからです。モノについては、期限切れの食材や薬、溜め込まれている空き箱や空き缶・紙袋など、親が処分に迷わないモノから整理していきましょう。4. 収納棚・収納ケースのなかのモノ収納棚や収納ケースの中身は視界に入ってこないため、小物や衣類などを溜め込みやすい場所になりがちです。収納棚や収納ケースを片づける際は、中身を全部出し、モノの要・不要を親に判断してもらいながら、整理していきます。モノが減ったら、必要なくなった収納棚や収納ケースも処分してしまいましょう。棚やケースを処分してしまえば、モノを溜め込んでしまうのを防げます。5.思い出のモノひととおりの片づけが終わった段階で、思い出のモノに取りかかります。手紙、写真、家族との思い出の品などを整理していきましょう。時間がかかる作業なので、手をつけるのは必ず最後にするのがポイントです。片づけ中に、親が思い出話をしてなかなかスムーズに作業が進まないかもしれませんが、イライラせずに話を聞きながら片づけていきましょう。親がどうしても手放せないモノや貴重品の対応大切ではないけれども残したいモノは「保留ボックス」を用意してまとめておきます。1年なら1年と期限を決めて「1年経っても使わず、今後も使う見通しのないモノは手放す」というルールをつくっておくのがおすすめです。また、片づけを進めていくうちに出てきた貴重品は、ひとつにまとめておきましょう。通帳や印鑑、重要書類などは金庫に入れて保管したり、近くに住む子どもが管理したりするようにしておくと、急に必要になったときにスムーズに手続きがおこなえます。同様に、デジタルで管理している銀行口座やサブスクリプションなどのIDとパスワードも、親子で共有しておいたほうが安心です。認知症になったり、介護が始まったりしてしまうと、親は貴重品の管理ができなくなってしまいます。親子で話し合い、誰がどのような形で管理するのかも決めておくとよいでしょう。親の暮らしやすさを考えて片づけを進めていこう実家の片づけは、親の今後の暮らしがラクになるためにおこなうものです。転倒やケガのリスクのある場所から片づけを進め、親が安心して生活できるように家を整えていきましょう。親が元気なうちに早めに実家の片づけをしておくと、親は暮らしやすくなり、子どもは親が亡くなったあとの負担が減り、どちらにとってもメリットしかありません。今回ご紹介した5つのステップを参考に、親子で話し合いながら片づけを進めてみてください。次回は「実家の片づけを始める前に自宅の片づけを進めるメリット」をテーマにお伝えする予定です。