「デジタル終活」の認知度は半数程度2025年に一般社団法人 終活協議会が行った調査によると、「デジタル終活」という言葉を聞いたことがある人は50%と、半数にのぼることがわかりました。しかし、実際にログイン情報を共有しているなど「デジタル終活を実際に行っている人」はまだ少数派であり、実践者は全体の約20%にとどまっています。デジタル終活をしないことで生じるリスクデジタル終活を行わないことのリスクを、具体的に見ていきましょう。調査によれば、デジタル終活をしていないことによって、家族が困る可能性のある状況がいくつも浮かび上がっています。調査で特に目立ったのは、サービスの解約やネットバンキングの利用に関するトラブルです。例えば、亡くなった後に、サブスクリプション契約の解除を忘れ、月々の支払いが続いてしまうことがあります。実際、調査によると、約47%の人が「解約処理ができず、死後もサービスの支払いが発生した」経験があると回答しています。また、他にも、親が亡くなった後に、家族が亡き親の金融資産にアクセスできなかったり、スマートフォンのロックが解除できなかったりすることが挙げられます。こうしたケースでは、遺族が非常に困ってしまうことになります。これらのリスクを回避するためには、デジタル終活を早期に行うことが重要です。特に、親が元気なうちに、その意向を聞いておくことが大切です。デジタル終活を行うメリットでは、デジタル終活を実践することで得られるメリットは何でしょうか。調査によると、デジタル終活を行うことで家族への負担を減らせるという声が多く寄せられています。デジタル終活のメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。遺族が困らない:親が残したデジタル資産やログイン情報を整理することで、家族が事後に困ることを防げます。金銭的なトラブルを未然に防げる:サブスクリプションやネットバンキングなど、日々の支払いの整理をすることで、経済的な負担を軽減できます。家族に安心感を与える:自分が亡くなった後も、家族がしっかりと手続きを行い、デジタル資産を管理できるという安心感を与えます。調査結果でも、デジタル終活を行うことで家族が困らず、スムーズに手続きを進められることが大きなメリットとして挙げられています。デジタル終活を実践することで、家族が精神的・金銭的な負担を軽減できるだけでなく、自分自身が亡くなった後の不安も減らすことができるのです。デジタル終活の進め方:5つのステップそれでは、具体的にどのようにデジタル終活を進めていけばよいのでしょうか。以下の5つのステップを参考に、家族で話し合いながら進めていくことをおすすめします。1. デジタル資産の洗い出しまずは、自分が持っているデジタル資産をすべて洗い出しましょう。具体的には、ネットバンキングの情報、SNSアカウント、サブスクリプションサービス、オンラインショップのアカウントなどです。これらの情報を整理し、誰がアクセスできるようにするかを決めます。2. ログイン情報の管理ログイン情報は、パスワードマネージャーやエンディングノートを使って整理し、安全な場所に保管します。信頼できる家族にログイン情報を共有することも大切です。3. 不要なサービスの解約日常的に利用していないサービスやサブスクリプションは、この機会に解約しましょう。これにより、死後もサービスの支払いが続くリスクを回避できます。4. デジタル遺品の整理スマートフォンに保存された写真や動画、文書なども整理しておきましょう。家族にとって大切な思い出や重要な情報を見つけやすいように整理しておくことが重要です。5. SNS・メールアカウントの取り扱いを決めるSNSやメールのアカウントは、削除するか、残すかを決めておきましょう。また、亡くなった後にどう扱うかを記録しておくことで、家族が困ることがありません。親が元気なうちに「デジタル終活」のことを話し合おうデジタル終活は、「今、親が元気なうちに始めることが大切」です。調査結果でも、デジタル終活を「やらなければならない」と感じている人は多いものの、実際にはまだ実行に移していない人がほとんどです。親世代が「まだ元気だから大丈夫」と考えているうちに、子ども世代が積極的に声をかけ、デジタル資産の整理を進めていくことが求められます。親が元気なうちにこそ、家族でしっかりと話し合い、デジタル終活を実践していくことが重要です。そして、デジタル終活は、万が一の際に家族が困らず、安心して暮らし続けるための大切な準備でもあります。まずは、親が元気なうちに、家族で必要なことを話し合い、準備を進めましょう。