実家じまいのきっかけと課題調査によれば、実家じまいを決断する主なきっかけは「家族・親族の死別」(45.3%)や「家族・親族の高齢化」(27.0%)が多くを占めています。また、「建物の老朽化」(18.0%)や「家族・親族が施設・病院に入り空き家になった」(10.3%)といった理由も挙げられています。実家じまいに伴う苦労としては、「荷物の整理・処分」(63.7%)が最も多く、次いで「法的な手続き(税金や登記等)」(37.3%)、「売却先が見つからない」(29.3%)といった課題が挙げられています。これらの課題は、突然の出来事によって余裕のない状態で取り組まざるを得なくなった結果として起きているケースが多いのです。実家に置いてある荷物整理で苦労したこと荷物整理に関する具体的な苦労としては、「荷物整理の時間がとれない」(48.0%)が最も多く、次いで「処分してよいかの判断が難しい」(37.0%)、「処分する方法がわからない(分別など)」(36.3%)、「処分したくないものが多い(思い出の品など)」(35.0%)といった回答が寄せられています。特に処分に悩んだものとしては、「大型家具(ベッド・ソファ・テーブル・タンスなど)」(42.3%)や「大型家電(冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど)」(35.7%)、「アルバム・写真」(35.3%)、「思い出の品」(31.7%)、「神棚・仏壇」(29.0%)が挙げられています。こうしたデータからは、「何を捨てて、何を残すか」を判断することが、片づけの大きなハードルになっていることがわかります。特に写真や手紙、仏壇などは、感情的な結びつきが強く、家族間でも意見が分かれやすいものです。親が元気なうちにできる具体的なアクション実家じまいや片づけに向けて、親が元気なうちにできる具体的なアクションを以下にまとめました。親と一緒に現状を把握する・どんなモノがどこにあるか、どれくらいの量があるかを一緒に確認。・特に貴重品、思い出の品、処分が難しい物をチェック。・家の中を親と一緒に歩いて、思い出話を聞く時間にもなる。優先順位をつける・すぐに処分できるものと、後から判断したいものに分ける。・写真や手紙、仏壇などは無理に捨てずに扱い方を家族で話し合う。・「使っていないけれど捨てられないモノ」にこそ、話す価値がある。定期的な片づけの時間を設ける・月に一度など定期的に「実家片づけの日」を設け、無理なく少しずつ進める。・作業後にお茶を飲むなど、親とのコミュニケーションの場にする。・曜日や季節の節目に合わせて「風通し」として実施するのもおすすめ。片づけの記録をつける・写真を撮ってビフォーアフターを記録すると達成感が得られる。・処分したもの、残すと決めたものを一覧にしておくと今後の判断材料にもなる。・親のこだわりや想いが詰まった物についてメモを残すと、家族にとって大切な記録になる。法的・手続き面も少しずつ確認・固定資産税や名義の確認、将来売却する場合の手続きも親と一緒に調べておく。・登記簿謄本を取り寄せて現状を把握する。・親が亡くなったあとの相続手続きに必要な準備も確認しておく。実家のことを話すのは、家族のこれからを話すこと親との関係性や距離感、思い出の重なり方によって、実家の片づけは人それぞれ異なるものになります。それでも共通して言えるのは“実家の片づけ”はモノの整理であると同時に、家族の時間を整理する行為”だということ。実家のことを話す時間は、親のこれまでと、これからの人生をつなぐ時間でもあります。"いつかやらなきゃ"が"今やってよかった"に変わるように。親が元気な今だからこそ、未来に備えて、実家のことを一緒に考え始めませんか。出典:エリアリンク株式会社「2025年問題を迎えて直面する課題「”実家じまい”の実態に関する調査」を実施 6割が荷物の整理や処分に苦労し、「事前に荷物の整理をしておきたかった」と回答」(2025年4月10日公開)