実家じまいをすることになったきっかけ――実家じまいをしたのはいつのことですか?母が2012年に他界して以来、父は実家でずっと一人暮らしをしていたのですが、2019年2月に父が他界したのを機に、約10か月かけて兄と実家じまいをしました。ただ、「実家」といっても、父は転勤族だったので最終的に持ち家となった家が「実家」となったという感じだったんです。それも私が大学2年のときに購入した家で、兄もすでに実家を離れて一人暮らしをしていました。そこで生まれ育ったわけではなかったし、結局私が住んでいたのは8年だけだったので、兄も私もそこまで実家に対して愛着はありませんでした。結婚して賃貸住まいだったら、父が亡くなってから実家に住んでもいいなとは思っていたんです。けれども、子どもの教育環境などを考えたときに、実家に住むのは難しいかなという結論に至りました。そこで、兄と相談して、実家を売却することに決め、実家の整理を始めたんです。10カ月後の2019年12月に実家の売却の手続きを始めて、2020年1月には買い手も見つかりました。実家じまいがスムーズだった理由――「実家の片づけがなかなか進まない……」という人が多いなかで、Yさんの場合は実家じまいがずいぶんスムーズに進んだ印象を受けました。どうしてスムーズに進めることができたと思いますか?やはり両親が元気だった頃から、しっかりと家の整理をしていたのが大きいですね。転勤族だったのでもともとモノがそれほど多くなかったというのもあると思います。モノだけではなく、葬儀の際の手続きや連絡先、生命保険、財産などの情報もきちんと整理されていたので、実家じまいをする際に本当に助かりました。もうひとつの理由は、両親とのコミュニケーションがしっかりとれていたこと。両親が元気だった頃は、親の考え方や思いを聞いていたし、両親も話してくれていました。だから、実家のモノや財産、情報などに関することが確認できていたんです。特に、女同士ということもあり、母とはたくさん話をしていました。私の知らないところで、父と兄もいろいろ話していたようです。実家のモノの整理が早くできたのも、親子のコミュニケーションのなかで何が大切で何を残してほしいのかを聞いていたからだと思います。なので、実家じまいのときに、親だったらこう言ってくれるだろうなというのが容易に想像できました。もちろん、実家を売却するのは薄情なことなんじゃないかという気持ちがなかったわけではありません。でも、これまで親の思いを聞いていたので、実家を売却することに対しても、きっと背中を押してくれるだろうなと感じたんです。――ご両親は片づけが得意だったんですか?そうですね。特に母は片づけが得意でした。母は、私のように整理収納を学んだわけではありませんが、たとえば「洋服は数シーズン着ない服はもう着ない」といった感じで自分なりにモノの持ち方のルールを決めていましたね。だから私にも「しばらく着ていない服はもう着ないだろうから見直してみたら?」と声をかけてくれていました。だから、家のなかはモノが整理されていて、いつもキレイでしたね。「子どもに迷惑をかけたくない」という親の思い――親の世代はモノをなかなか捨てられない方が多いなかで、そこまで片づけができているのは素晴らしいですね。本当にそう思います。そういえば、私が小さいときから両親によく言われていたことがあるんです。「歳をとったら、娘と息子の世話にはなりたくない。子どもたちには自分の人生を生きてほしいから、その時間やお金を親のために使ってほしくない」と。そういう考え方の親だったから、きちんとモノも情報も整理していたんだと思います。両親が亡くなったときに、子どもが一番困るであろう部分をすべて整理して残してくれていたんですね。そのおかげですべてがスムーズでした。【筆者後記】子ども世代が実家の片づけに悩むなかで、子どもまかせにせずに自分たちでしっかりと生前整理ができていたYさんのご両親。「お金と時間を親のために使ってほしくない」というご両親の言葉がとても印象的でした。第16回は、引き続きYさんのインタビューです。実家の片づけのためにお母様が具体的にやっていたことをお伝えします。