終活に取り組む人のほうが、幸福度も生活満足度も高い 今回の調査では、「終活をすでに始めている」人の幸福度の平均点は6.48点。これは、調査対象全体の平均(6.03点)を大きく上回る結果となりました。さらに、「今後実施する予定」とした人の幸福度は5.74点、「必要ない」とした人は5.58点と、行動している人との差が際立っています。 生活満足度についても同様です。終活を始めている人のうち、「満足している」「やや満足している」と回答した割合は63.5%。対して、「終活は必要ない」と答えた人では44.2%と、その差は約20ポイントにのぼります。こうした数値からも見えてくるのは、「終活を始めたことで、自分の暮らしや人生と向き合い、前向きな気持ちで毎日を過ごせるようになった」という人が多いということです。つまり終活は、ただ準備を整えるだけの行動ではなく、今の暮らしや心のあり方を整える機会にもなっているのです。始めやすいのは「年賀状じまい」など、身近なことから「終活を始める」と聞くと、遺言書やお墓、相続の話など、少し重たく感じてしまうかもしれません。けれど実際には、もっと身近で取り組みやすいことから始めている人がたくさんいます。調査によると、終活を実施している人の中で最も多かった取り組みは「年賀状じまい」で、38.4%。次いで「お墓の準備」24.0%、「資産運用を始める」21.5%、「家具や家の中の荷物整理・処分」19.0%と続きます。 年賀状じまいは、日々の暮らしの中で自分の意思で始めやすい終活のひとつです。「そろそろ年賀状のやりとりをやめようかな」といった親のひと言から、「これからどんな暮らしがしたいのか」「誰と、どう関わっていきたいか」といった話につながることもあります。また、「エンディングノートの記入」や「デジタル情報の整理」といった取り組みも2〜3割の人が実施しており、「終活=人生の終わりの準備」というイメージから、「これからをより快適に暮らすための整理整頓」という位置づけに変わりつつあることがうかがえます。終活は一気にやるものではなく、ふとした生活の中の選択から始められるもの。自分にとって必要なもの、大切にしたい人との関係を見直すプロセスとも言えるでしょう。終活は「いざというとき」の準備ではなく、「今」を大切にするための選択今回の調査では、終活を「必要ない」と考えている人は22.6%でした。つまり、およそ8割の人が「必要だ」と感じているにもかかわらず、実際に始めているのは44.0%。意識と行動の間には、まだまだ大きなギャップがあるのがうかがえます。 では、なぜ多くの人が先延ばしにしてしまうのでしょうか。理由のひとつは、「終活=死を意識すること」というイメージが根強いことかもしれません。しかし実際には、調査結果が示すように、終活を始めた人のほうが幸福度も満足度も高い。これはつまり、終活を通じて「これからどう生きたいか」に意識が向いているということです。だからこそ、親が元気なうちに、子どもと一緒に「これから」を考えてみる。「どこで暮らしたい?」「どんな医療や介護を望む?」「家のこと、どうしようか」──そんな会話を、あたたかく、落ち着いてできるチャンスは今かもしれません。終活は「これからの時間をどう使うか」を考えることにつながるちなみに、今回の調査によると、終活にかかる費用の平均は503万円と決して少額ではないことも分かりました。なかでも資産運用や住まいのリフォーム、不動産の整理など、「これからの暮らし」を見据えた取り組みが多く、終活とは「人生の終わり」だけでなく、「これからの時間をどう使うか」にも関わっていることが見えてきます。まずは「年賀状をやめてみようかな」という小さなところから。あるいは、エンディングノートの1ページを一緒に開いてみるところから。終活は、こういった身近な話題から自然にはじまります。いざというときの備えではなく、「今をよりよく生きる」ために。そして、親と子が、互いの思いを知るために。“話しやすい今” のうちに、一緒に考えてみませんか。出典:株式会社ハルメクホールディングス「【終活に関する意識・実態調査2025】終活にかかった費用は平均約503万円終活を始めている層は44.0%で、幸福度、生活満足度が高い。「年賀状じまい」「墓じまい」など“手放す終活”の広がりが顕著に。」(2025年5月21日公開)