写真好きの父が進めていたデジタル整理――前回は、お母様の話を詳しく聞かせてもらいましたが、お父様はどんなことをされていましたか?そもそも転勤族でモノ自体は少なかったんですが、父は写真が趣味だったので写真はたくさんあったんですね。でも、会社を退職して時間ができたときに、家中のアルバムを集めてきたんです。アルバムから写真を剥がして、スキャンしてCDに焼いてまとめてくれました。自分が亡くなったときのための準備を進めようとしていたわけではないと思うのですが、家のなかでスペースをとっているアルバムが気になっていたみたいです。プリンターを手に入れて、時間もあるからと、父と母の若いときの写真や私と兄が赤ちゃんだったときからこれまでの写真もすべてスキャンしていました。そうして、私が結婚するときに、そのCDを全部渡してくれたんです。私に子どもが生まれてからも、父が撮った写真はデジタル化して残してくれました。紙の写真と違って、コンパクトなのでありがたかったですね。こういったことも父なりの生前整理だったんだと思います。仕事の引き継ぎのように整理されたファイル――親のアルバム整理って、何を残していいのかわからなくて難しいですよね。お父様がアルバム整理をしてくれていたのは、本当にありがたいと思います。ほかにもお父様がやっていたことはありますか?あります!父はエンディングノートを書いている様子はまったくなかったんですが、しょっちゅうパソコンでなにかやっていたんですね。それは写真整理だけかと思っていたら、エンディングノート代わりのメッセージを残してくれていたんです。病院で息を引き取る前に「パソコンのデスクトップに2人(私と兄)宛ての手紙があるから、読んでほしい。そこに手続きのことや今後のことが全部入っている」と言い残していました。そこでパソコンを見てみると、私と兄に「望んでいること」が書かれていました。たとえば延命治療はしないでほしいお葬式は母と同じところで無宗教でやってほしいお墓は契約してあるので担当者に連絡してほしい(連絡先は記入済み)財産分与は2人で話し合って分けてくださいといったことが書いてありました。まるで仕事の引き継ぎみたいな感じがしましたね。――お父様も、Yさんとお兄様に負担がかからないようにしていたんですね。親が亡くなってから困ることのひとつは、そういった情報整理なんですよね。そう思います。でも、これだけじゃないんです。それ以外にも各種手続き一覧と財産目録がまとめられたファイルもあるんです。本当に仕事の引き継ぎみたいですよね。オンラインショップに登録したIDとパスワードも全部書いてあります。これは、自分が買い物するときに忘れないように書き留めておいたんだと思います。でも、私たちが解約時に困らないように残しておくためでもあるんじゃないかなと。ほかにも葬儀の際に連絡してほしい人の一覧や保険関係のこと、担当者がいればその名前も書いてありました。あと、月々の口座の引き落としは毎月何日にどういう費用が引き落とされるか、いつ解約したかといった細かい情報も書き込まれています。本人が亡くなったら相続が面倒そうな株はすでに売却済みで、現金化していたこともわかりました。このファイルは、自分のために情報整理したものをそのまま渡してくれたんでしょうけど、それぞれの手続きの際に本当に助かりました。このファイルを見れば、何をすればいいのかが一目瞭然で、とてもスムーズにすべてが終わったんです。――そこまで整理されているのは、本当にすごいと思います。実家じまいを進めるなかで困ったことはほとんどなかったんじゃないですか?ないですね。特に母に関してはまったくないです。父に関しては、しいて言えば趣味の写真で額装されたものが残っていたくらいでしょうか。趣味の写真も、ほしいという親戚に一部は引き取ってもらって、あとはすでにデータがあるので処分しました。デジタル整理ができていたおかげで、処分の判断も難しくはなかったですね。【筆者後記】情報整理は、モノの整理より大変なことも多いものです。しかし、Yさんのご両親は子どもに負担をかけないよう、あらゆることを整理されていて頭が下がる思いがしました。自分が実家を片づけるときにやるべきこと、そして親として子どもにできることは何か。Yさんのご両親から教えていただいた気がします。第18回は、筆者自身が実家の片づけをしているときに気づいたことをお伝えします。