「母がひとりで管理するお墓を、少しでも楽にしたかった」——この「墓地リフォーム事業」を始めたきっかけを教えてください。私の実家のお墓は田舎の山間にあり、階段を登らないとたどり着けません。敷地も広くて、年に2〜3回は母と草むしりに通っていました。でも父が早くに亡くなって、70代になった母にとって、その作業は年々つらくなっていたんです。もともと私はエクステリア事業の営業をしていたので、あるとき「エクステリアで使う資材を活用できるかもしれない」と思い立ったんです。防草シートを敷き、その上に天然石の砂利を入れ、階段には手すりも設置しました。外構工事で使うような材料ですが、これを応用することで、見た目も良く、お墓の手入れもかなり楽になりました。しばらくしてから、近所の方から「どこで工事したの?」と母に声をかけてくださるようになったんです。田舎ではお墓の周囲が散歩コースになっていて、日々の変化に気づかれやすいんですよね。母を通じて「うちもやってみたいけど、いくらくらいかかるの?」という声も届くようになり、「これは事業としても成立するのでは」と思い、社内で新規事業として提案したんです。墓地リフォームで必要な手すりや防草シート、化粧砂利、真砂土、目地材などは、すべて弊社で取り扱っている資材をそのまま活用できますし、車両や機材も流用できる。新たな設備投資なしに事業としてスタートすることができたんですよね。——どういうお墓のリフォームを手がけることが多いのでしょうか。我々が対応しているのは「みなし墓地」と呼ばれる墓地です。これは、墓墓地として正式に認可されたわけではないけれど、法制定以前から使われていて、慣習的に認められている場所です。お寺や民間が管理している墓地とは扱いが異なり、造成などを行う場合は自治体の判断が必要な場合もあるんです。なので、あらかじめ役所に相談してから着手するようにしています。特に中国地方の山間部にはみなし墓地が多く、広島や島根、岡山などに集中しています。中には、車で近くまで行けず、敷地に入るにもひと苦労という場所もあるんですよ。みなさん本当に努力して、きれいな状態を保っていらっしゃるんだなと感心することも多いです。雑草対策、安全確保、そして“墓じまいの前に”——墓地リフォームを検討されている方からどのような依頼をいただくことが多いですか。一番多いのは雑草対策で、全体の8〜9割を占めます。残りは通路整備や階段の安全確保です。たとえば先日、呉市で相談を受けた現場では、身の丈ほどに伸びた雑草が広がっていて、まずは草刈りからのスタートになります。防草シートと砂利を入れて、今後草が伸びないような処置をご提案させていただきました。傾斜地のお墓や階段がある場所では、滑りや転倒のリスクも高まります。最近手がけた現場では、15〜20段の階段があり、高齢のご家族が登るのが難しいというお悩みでした。手すりの設置やスロープ化、段差の調整など、安全にお墓参りできるような工夫も多く取り入れています。%3Csmall%3E%E2%96%B2%E6%96%BD%E5%B7%A5%E5%89%8D%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%A7%98%E5%AD%90%EF%BC%9A%E9%98%B2%E8%8D%89%E5%B7%A5%E4%BA%8B%20(%E7%9C%9F%E7%A0%82%E5%9C%9F%E4%BB%95%E4%B8%8A%E3%81%92)%20%E3%80%81%E6%89%8B%E3%81%99%E3%82%8A%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E4%BB%98%E3%81%91%E3%80%81%E6%A4%8D%E6%A0%BD%E3%81%AE%E9%99%A4%E5%8E%BB%E3%81%AA%E3%81%A9%3C%2Fsmall%3E%3Csmall%3E%E2%96%B2%E6%96%BD%E5%B7%A5%E5%89%8D%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%A7%98%E5%AD%902%EF%BC%9A%E8%83%8C%E5%BE%8C%E3%81%AE%E5%B4%96%E9%83%A8%E5%88%86%E3%81%AB%E8%BB%A2%E8%90%BD%E9%98%B2%E6%AD%A2%E7%94%A8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%92%E8%A8%AD%E7%BD%AE%3C%2Fsmall%3E——どんな年代の方がどのような理由から相談されることが多いのでしょうか。40〜50代の子ども世代、そしてその親御さんたちからのご相談が多いです。「このままでは親が管理しきれない」「後々、子どもたちが困らないように今のうちに整えておきたい」といった声をよくいただきます。きょうだいで費用を出し合って整備するケースもあります。また、遠方に住んでいて、お盆にしか帰省できない方にとっては、お墓掃除の負担が大きな課題です。「帰省したらまず草むしり。それだけでお盆が終わってしまった」という話も珍しくありません。——最近では「墓じまい」を検討する人も増えていますよね。そういうニーズにはどのように応えていますか。「もう管理ができないので墓じまいしたい」というご相談も確かにあります。でも、墓じまいには費用もかかりますし、お骨の移転先、親族との調整など、簡単に決断できることではありません。そんなときは、まずは墓地リフォームで負担を減らし、そのうえで時間をかけて家族で考えるという方法もある、とお伝えしています。リフォームによって管理が楽になれば、もう少し維持できるかもしれないし、その間に気持ちの整理や家族内での話し合いも進められる。墓じまいを“最終手段”とする前に、できることがあるという考え方です。墓地を明るく、親子の対話のきっかけに——今後、才津原さんはどんな墓地リフォームを手がけたいと考えていますか。今は主に“負担を減らす”ためのリフォームが中心ですが、今後は見た目にも明るく、清潔感のある墓地づくりを提案していきたいと考えています。たとえば、化粧砂利の色を変えたり、周囲をちょっとした花壇風に整えたりとか。お墓参りって、どこか暗くて重たいイメージがありますよね。でも、家族が集まるきっかけにもなる、大事な場所だと思うんです。だったら、もっと気軽に、明るい気持ちで足を運べる空間にしたいなと思っています。——「お墓のこと、どうしようかな」と悩んでいる読者も少なくありません。才津原さんから最後にメッセージをいただきたいです。お墓のことって、ご両親が自分から言い出さないことも多いですよね。でも、本当は草むしりがつらかったり、通うのが大変だったりするかもしれません。だからこそ、子ども世代から「最近、お墓のことどう?」と聞いてみてほしいです。お墓の話は、実家や老後、相続といったテーマに自然につながっていくこともあります。私たちの取り組みが、その最初のきっかけになるとうれしいですね。都会の場合、お寺などで墓を管理していたり、霊園が整備されていたり、お墓を持たずに納骨堂に収めていたりなどしているケースも少なくありません。ただ、地方にある、特にみなし墓地と言われるお墓の管理が思っていた以上に大変だということを、インタビューを通じて改めて感じました。山あいの傾斜地にあって草がすぐに伸びてしまう、階段の上にあって高齢の親には通うだけでもひと苦労。土地ごと、家ごとにお墓を管理する事情が違うという難しさもあります。「先祖代々のお墓はちゃんと守らなければいけない」という気持ちが強い分、現状を変えるのはむずかしい——そう感じている親や親戚もきっと少なくないはず。だからこそ、いきなりお墓を手放す墓じまいを提案するのではなく、まずは“管理しやすくする”という方法があることを提案することもひとつの手かもしれません。実家に帰る予定がある方は、ぜひ一度お墓の様子を見に行ってみてください。そして、両親と、お墓のこと、家のこと、少しだけ話してみませんか。その一歩が、家族にとっての大きなきっかけになるかもしれません。取材協力:株式会社こっこー