老人ホーム・介護施設検索サイト「LIFULL 介護」は2026年3月、子と別居している親世代(50代以上)と、別居している親をもつ子世代(30〜40代)それぞれを対象に、介護のための同居についての意識調査を実施しました。調査結果から見えてきたのは、数字の裏に隠れた、親と子それぞれの「思いやり」でした。親も子も、同居介護は「できれば避けたい」が多数派調査では、親世代の約8割、子世代の約6割が、介護のための同居を「したくない」または「できれば同居したくない」と回答しました。どちらの世代も「同居したくない」という意向が多数派である点は同じです。ただ、その割合には差があります。「子どもが嫌がっているのでは」と思っている親世代の方もいるかもしれませんが、実は親世代のほうが子世代よりも、より否定的な傾向があることが分かりました。では、それぞれはなぜ、同居に後ろ向きなのでしょうか。「子に負担をかけたくない」——親世代の正直な気持ち同居を望まない理由として、親世代でもっとも多かったのは「子に介護の負担をかけたくないから」(84.1%)でした。次いで「自分のことは最後まで自身でなんとかしたいから」(48.2%)、「自身のストレスが増えそうだから」(37.6%)と続きます。つまり、同居に後ろ向きな親世代の多くは「子どもに迷惑をかけたくない」という思いを抱えているということがわかります。「ストレスが増えそう」「両立できない」——子世代のリアル一方、子世代でもっとも多かった理由は「介護によるストレスが増えそうだから」(52.8%)。次いで「仕事や育児と介護の両立ができないから」(37.8%)が続きました。同居して介護を担う場合、日中は仕事、帰宅後は介護という生活になりやすく、時間的にも精神的にも負担が大きくなります。さらに子育て世代では、育児と介護が重なる状況になることも少なくありません。子世代は「親の介護をしたくない」というより、「今の自分の生活を守り続けられるか分からない」という、現実的な不安が背景にあるようです。お互いを思いやっているのに、どこかすれ違っている親世代は「子に負担をかけたくない」から同居を望まない。子世代は「生活が立ち行かなくなるかもしれない」と感じて同居に踏み切れない。それぞれの理由を見ていると、どちらも相手を拒絶しているわけではないことが伝わってきます。むしろ、お互いのことを考えているからこそ、慎重になっているとも言えるのではないでしょうか。一方で、同居を「したい」と答えた方たちの理由も見てみると、また違う景色が見えてきます。親世代では「子しか頼れる人がいないから」(52.2%)が最多。子世代では「親孝行がしたいから」と「同居で介護や世話の手間を軽減できるから」がそれぞれ49.7%で並びました。同居してもしなくても、その気持ちの根っこにあるのは、家族への思いやりなのかもしれません。「どこで暮らすか」のイメージも、親子でずれている同居を前向きに考えている場合でも、「どこで暮らすか」については親子でイメージのギャップがあることも分かりました。親世代の約7割は「親(自分)が住む家」を想定しているのに対し、子世代では「親が住む家」は約半数。「子(自分)が住む家」に来てもらう、いわゆる“呼び寄せ介護”を想定している人が親世代より多い結果となりました。「同居しよう」という合意があっても、それぞれが頭の中で描いている絵が違う。だからこそ、まだ元気なうちに「どんな形が自分たちに合うか」を、少しずつ話しておけるといいのかもしれません。同居していても、施設入居を考える時が来ることもあるLIFULL 介護への老人ホーム問い合わせデータからは、もうひとつ興味深いことが分かりました。「子世帯と同居」している状態で問い合わせをしている方が約1割おり、「夫婦二人暮らし」と合わせると、同居者がいる人からの問い合わせが3割以上を占めていたのです。また、子と同居している入居検討者は、ひとり暮らしの方に比べて問い合わせ時の要介護度が高く、「1か月以内に入居したい」という緊急度の高いケースが多い傾向も見られました。家族がそばにいることで生活を支え続けられる一方、判断がぎりぎりになってから慌てて施設を探すことになる場合もあるようです。同居という選択をしたとしても、介護施設という選択肢をあらかじめ視野に入れておくことで、余裕をもって先を考えられるようになるでしょう。「同居か、しないか」の二択じゃなくていい今回の調査から見えてきたのは、「同居して介護する」か「しないか」という二択ではなく、さまざまな形があっていいということです。デイサービスや訪問介護を活用しながら別居のまま支えていく形も、子どもの近くに住んでもらう「近居」という選択肢もあります。どれが正解かは、それぞれの家族の状況によって違うのです。まず大切なのは、「自分はどうしたいか」「相手はどう思っているか」を、少しずつ話せる関係をつくっていくことかもしれません。「子に負担をかけたくない」と思っている親と、「親のことが心配」と思っている子ども。いざというときのために、お互いどう思っているのか、少しずつ伝え合えたら——そんなことを、この調査は教えてくれているような気がします。【調査概要】調査期間:2026年3月2日〜4日調査対象:親世代…子と別居している50代以上の男女536人/子世代…現在別居している親がいる30〜40代の男女545人調査主体:株式会社LIFULL senior調査手法:インターネット調査※本記事のデータは、老人ホーム検索サイト『LIFULL 介護』による調査に基づいています。※グラフは小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。