年齢を重ねるにつれて、「今の住まいがこれからの暮らしに合わなくなるのではないか」と感じるシニア世代が増えているといいます。「住生活基本計画(全国計画)の策定に向けた中間とりまとめ(国土交通省:令和7年11月)」でも、シニアが安心して自分らしい住まいを選べる環境づくりの必要性が指摘されました。住み替えや持ち家の整理は、シニア本人だけでなく、離れて暮らす子世代にとっても気がかりなテーマ。今回の調査は、そんな親世代・子世代それぞれの意識と、そのあいだにあるギャップを浮かび上がらせています。終活の不安、「住まい」が2番目に多かった終活において不安を感じている分野を聞いたところ、最も多かったのは「身の回りの整理・遺品整理」で37.2%。そして2番目に挙がったのが「住まい(持ち家・賃貸の扱いなど)」で、30.7%の人が不安を感じていると回答しました。これは「医療・介護」(27.8%)や「葬儀・お墓」(25.3%)よりも高い数字です。持ち家をどうするか、高齢になったときにどこで暮らすか――。住まいの問題は、想像以上に多くの人の心にひっかかっているようです。関心はあるのに、動き出せない「住まいの終活」に興味があるかどうかを聞くと、「情報収集や検討をしている」「興味はあるが、まだ何もしていない」と答えた人を合わせると約半数にのぼりました。ところが、「すでに具体的に行動している」と答えた人はわずか5.3%。関心を持ちながらも、9割以上の人が実際の行動には移せていないという結果でした。その背景にあるのは、「何から始めればよいかわからない」という戸惑い。この回答が課題として最も多く、26.3%を占めています。住み替えや資産活用に関する制度・支援についても、「特に知らない」と答えた人が半数を超えており、情報が届いていないことが足踏みの一因になっていることがうかがえます。親は「迷惑をかけたくない」、子は「きっかけがない」興味深いのは、親世代と子世代の間にある "すれ違い" です。シニア世代に「住まいの終活が必要だと思う理由」を聞くと、最も多かったのは「家族(子ども)に負担を残さないため」(41.5%)。親世代の多くは、子どもへの思いやりから「なんとかしなければ」と感じているようです。一方、子世代に「住まいの終活で感じている課題」を聞くと、「何から始めればよいかわからない」に次いで多かったのが「家族と話し合うきっかけがない」(18.7%)でした。自由回答では、「親に早くしてほしいと要望しても本人のやる気がなかなか上がらない」「まったく親とそういった話をしたことがない」といった声も寄せられています。お互いに気にかけているのに、なかなか話し出せない。そんなもどかしさが浮かび上がってきます。子世代のほうが「早く始めたい」と感じているもうひとつ注目したいのは、「住まいの終活はいつ頃から始めるのが望ましいか」という問いへの回答です。シニア世代よりも子世代のほうが、より早い時期から始めるべきだと考えている傾向がありました。また、ほぼすべての課題項目において、子世代のほうが課題意識が高いという結果も出ています。親よりも子どものほうが焦りや不安を感じている――。これは、離れて暮らしているからこそ見えてくる心配の表れなのかもしれません。住まいの終活という言葉には、少し構えてしまうところがあります。でも今回の調査が教えてくれるのは、多くの人が同じように「気になっているけれど、どうしたらいいかわからない」と感じているということ。親は子どもに迷惑をかけたくないと思っていて、子どもは親と話すきっかけをつかめずにいる。その気持ちのすれ違いに気づくだけでも、何かが少し変わるのかもしれません。「住まいのこと、どう考えてる?」——そんなひと言から始めてみるのも、ひとつの方法ではないでしょうか。出典:三井不動産リアルティ株式会社「『住まいの終活』に関する実態・意識調査」/2026年2月実施/対象:45〜59歳の子世代・65〜79歳のシニア世代 計600名