「あれば安心」で増えていた実家の書類不動産関係の手続きの付き添いのために実家に帰省したときに、両親と実家のお金や書類の管理についても話しました。その際、保険会社と証券会社の書類がどこにあるのかを聞いたところ、ひとつの棚を指さして「ここに全部あるよ」と父に教えてもらいました。私の実家の場合、大事な書類のほとんどを父が管理しています。もちろん母も書類のある場所は知っていますが、管理は父の担当です。父はまめな性格なので、郵便物が届くと、開封して必ず中身を確認します。とっておくものには、封筒に日付を記入し、中身を封筒に戻して保管していました。保管場所も決まっています。ですが、特に収納ボックスやファイルにまとめておくわけでもなく、ただ一定の場所にポンとしまってあるだけ。この状態でも、父は「捨てていなければ、必ず見つかる。だから安心なんだ」と考えていたようです。そこで、父と一緒にすべて確認することにしました。封筒に日付が記載されているので、いつの書類かはすぐわかります。けれども、封筒の外から中身はわかりません。中身を出してみると、必要書類だけでなく、保険のチラシやアプリの案内なども同封されていました。最新の書類さえあればいいものも、すべて保管されていたのです。10年以上前の封筒も残っていました。この状態では、今すぐ必要な書類を探そうとしたら、かなり時間がかかります。書類は「持っているかどうか」だけでなく、「必要な情報をすぐに取り出せるか」という視点も大切です。実家の書類が多すぎる原因がわかったので、ここを改善していくことにしました。「あれば安心」ではなく「すぐ見られる」を目指す父から「何を残せばいいのかわからないから任せる」と言われたので、まずは一定のルールを父と一緒に決めました。そのうえで、ひとつずつ確認しながら要・不要を判断していきました。保険会社の書類は、不要なチラシ、案内、契約前の提案書などを処分。父は、念のために不要な書類を確認しながらシュレッダーをかけていきました。これまで、こういった作業が面倒だったのも書類が片づかない原因だったようです。証券会社の書類を確認してみると、必要な情報が最新のものに集約されていたため、2枚だけ残すことにしました。どちらの書類も、封筒には戻さず、クリアフォルダにまとめています。今回は整理が目的だったので、次回は収納用品を使ってバーチカルファイリング(個別フォルダを使ったファイリング方法)にする予定です。ひとまず必要な情報をすぐに確認できる状態になり、両親もすっきりした様子でした。必要な書類だけ残してみると、棚の半分を占めていた書類スペースを8割減らすことができました。以前、生前整理アドバイザーの方から「実は、封筒に日付を記入してそのまま残しているケースは少なくない」と聞いたことがあります。書類は要不要の判断が難しく、捨てて困るくらいなら残しておいたほうが安心だと考えるからなのだそうです。古い情報が積み重なっていくと、本当に必要な書類が見つけにくくなります。高齢者に限らず、何を残せばいいのかわからないから全部残してしまう人は少なくありません。確かに「あれば安心」なのかもしれません。でも、書類は保管することそのものが目的ではなく、必要になったときにすぐ確認できる状態にしておくことも、大切なのだと感じました。どんな契約をしているか、現状はどうか、誰に連絡すればよいのかなどがすぐわかることが安心につながります。特に実家の場合は、将来的には、親本人ではなく家族が確認する場面も出てくるかもしれません。いざというときに「取っておいてあるから大丈夫」ではなく、「必要なときにすぐ見られるから大丈夫」という仕組みをつくっておくと安心です。実家の片づけは、ひとつの封筒を開けることから実家にモノが多くて悩んでいる場合でも、実家全体を一気に片づけようとしなくても大丈夫です。帰省したときに古い封筒を見つけたら、開けてみて「これはまだ必要かな?」と親と一緒に確認する。そんな小さなことも実家の片づけの第一歩になります。これまで、私自身の実家での経験や実際に実家の片づけを経験した方への取材を通して、さまざまなケースをお伝えしてきました。家の広さも、モノの量も、親子関係もそれぞれ違います。ですから当然、実家の片づけの正解もひとつではありません。ただ、共通して言えるのは、実家の片づけは「捨てること」だけではないということ。今回の書類整理でも、まず必要だったのは「今、何が必要なのか」を親と一緒に確認することでした。実家の片づけは、いきなり大きな決断をすることだけではありません。まずは親と話し、一緒に「今、必要なものは何か?」を確認してみる。そんな小さなやりとりも、実家の片づけを進める大切なきっかけになるのだと、あらためて感じています。